「――よし! これからフランス殴りに行ってくるぞ!」
「その前に、何でまたそんな格好してるんだい?」
いまのイギリスはカラーに細いリボンタイ、カフス、あとエプロンぐらいしか身につけていない。殆ど裸も同然だ。
「今更なに言ってんだ。これは俺の戦闘服だぞ」
イギリスは腕を前で組んで、ふんぞり返りながら堂々と言い切った。ああやっぱり、パブでぬるいエールを飲み過ぎたせいだな。本当に彼は酔うと手がつけられない。
――でも、フランスも裸に猫耳って格好が好きだな。いい年になると皆あんな風になるのかな。クリスマスもお互いにあの格好で決闘するつもりだったらしいし。
「お前もクリスマスん時はトランクス一丁にペンダントだけだったろ」
「あれはフランスがみんなの服を脱がせて面白い事してるって聞いたからだぞ!」
クリスマスはお祭り騒ぎが楽しみだったからで、普段服を脱ぐのは着替えるときとシャワー浴びるときと、あと体重計に乗るときぐらいだ。それにちょっと――神様、俺は信じたくないからはっきりとは言わないぞ。
「俺は身体を人に見せるの嫌だよ」
「そうか? 俺はお前の身体好きだけどな」
待ってくれよ! いくら酔ってるからってそんな大胆な発言しなくても!
あまつさえイギリスは服の上から俺の胸をなで回し始めた。しかも彼は殆ど全裸だし、俺の心臓の方が保たないよ。ああやっぱり彼の格好は最強の戦闘服だ。
「畜生、何で俺には無いんだよ――今日はフランス殴るのはやめだ! アメリカ、その身体俺によこせ!」
「無茶な事言わないでくれよ!」
「うるせぇ、ぐだぐだ抜かすな侵略するぞ」
出来ないだろ俺は独立したんだから、と言う前に、イギリスに床に押し倒された。
- 了 -
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