マッ●●リドルはメイプルあじ。

08/02/07

「もー……無駄に体力使っちゃったよ」
 キャッチボール、と言う名目の一方的な的当てのあと、疲れ切ったカナダは芝生に大の字に寝転がった。ペットのクマ二郎さんの一匹がふぃと顔を寄せ、そのまま逸らして去っていく。
「君の鍛え方が足りないだけだぞ」
 一方で、アメリカは余裕の表情だ。カナダの隣に座り込む。
「アメリカと一緒にしないで欲しいよ……君が化け物なんじゃないか」
 そうカナダは文句を言ったが、アメリカに「え?」と返され、慌てて何でもないよと誤魔化した。
「カナダ。俺すごーくお腹すいちゃったぞ。何か食べないかい」
「それって僕に用意しろって言ってるんだよね?」
「だってここは君の家じゃないか。あ、俺はハンバーガーがいいぞ!」
 野郎いつもいつも好き勝手言いやがってぇ、とカナダは胸中で毒づきながら起き上がった。勿論、直接言葉に出来るはずがない。
「わかったよ。家にきなよ」
 サンクス、と言ってアメリカはカナダの後に付いていった。

 ダイニングルームにアメリカを待たせ、カナダはあり合わせのものでハンバーガーらしきものを作った。朝食のパンケーキとベーコンが残っていたのは幸いだった。あとはサニーサイドエッグを焼いて一緒に挟めばいい。
「ほら、アメリカ」
「遅いぞ!」
 カナダはまたもやかちんときたが、我慢してテーブルに置いてあったメイプルシロップの瓶を手に取り、蓋を開ける。
「……なにする気だい?」
「なに、ってメイプルシロップかけるんだよ」
「これにかい!?」
「うん。ってその顔……おいしいんだけどなぁ」
「あーっ!」
 カナダは瓶を持つ手を傾けたまま喋っていたため、メイプルシロップはそのままアメリカのぶんのハンバーガーもどきにたっぷりと流れ落ちた。
 珍しくアメリカを慌てさせたことに気をよくして、カナダは自分のぶんにメイプルシロップをかけた。
 アメリカも渋々ハンバーガーもどきを食べ始めたが、ひとくち入れた途端、瞳が子供のように輝いた。
「ほんとだ、おいしいぞ!」
「僕が正しかったでしょ?」
「今度うちでも作ってみることにするよ」
 彼らのかつての保護者が見たら太るぞ、と嘆息されそうなメニューだが、二人は甘いハンバーガーもどきを食べながら他にどんなものが合うかについて語り合った。

- 了 -


 神々の集う某絵茶にてひっそり投下させていただいた文。アメリカとカナダは喧嘩しつつも仲良し兄弟なところに萌えます。

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