頭の中はそれ一色

07/10/08

 我が国の技術の粋を集めて制作した、頭の中も見える高性能双眼鏡。いちどは韓国さんに勝手に持って行かれてしまいましたが、何故か数日で返してくれました。
 まだイタリア君とドイツさんでしか効果を実証していないので、もっと多くの方で試したい、と思い、私はこの双眼鏡を国際会議にこっそり持っていくことにしました。勿論、会議の間に使う事はしませんけど。

 会議はおおむねいつも通りの進行でした。まずアメリカさんが大変壮大な案を提出され、私が同意するのとほぼ同じタイミングでイギリスさんが反対意見を出され、そこにフランスさんが参戦して場が混乱し、最終的にドイツさんやオーストリアさんがキレてから収束していく、という感じです。イタリア君やロシアさんのように我が道を行く人もいらっしゃいますが。

 会議終了後、私は例の双眼鏡を出して会議室を出て行かれる皆さんを眺めていました。それぞれ非常に個性的で面白い。
「日本! 双眼鏡なんか持ってどうしたんだい?」
――あ、アメリカさんです。彼は言っている事と考えている事に殆ど差が無いのであまり面白くありません。
「最近、野鳥観察が好きになりまして。この機会に外国の鳥でも観ようかと」
「へぇー」
 そろそろ日が暮れるということ、それ以前にここは建物の中だという指摘は、アメリカさんならまずしてこないので安心です。
「日本。会議も終わったからアイスでも食べに行かないかい?」
「今からですか? 夕食の時間が近いと思うんですが」
「会議が長引いちゃったからなぁ。まったく、いつもイギリスが俺の言うこと全部に反対するからすぐに決まらないんだぞ」
 他に色々原因があるせいだと思うのですが――私は双眼鏡をアメリカさんに向けました。
「ふふ、微笑ましいですね」
「日本?」
「いえ、何でもありません」
 やはり、日本の技術Bonsai! です。
 指摘してもアメリカさんは否定するでしょうけどね。

- 了 -


 現実の国際ニュースではいっそ清々しいぐらい速攻で意見一致する二国ですが、ヘタリア世界ではとにかくアメリカの意見を否定しまくるイギリスに萌えます。でもこの話、イギリス一切出てない。

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